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サイエンス・デイ オブ ザ イヤー2019(仙台市長賞)受賞企画概要

20181103-7

1.出展プログラム名

ゲームで楽しく津波防災まちづくり! ~数値シミュレーションを活用した楽しく正しい防災教育を目指して~

2.出展団体名

東北学院大学工学部バーチャルリアリティ研究室/水工学研究室

3.構成員名簿(氏名・学年)

氏名 役職・学年
佐瀬 一弥 講師
三戸部 佑太 准教授
阿部 政哉 機械知能工学科4年
木村 達也 環境建設工学科4年

4.受賞コメント(約400字)

 大変栄誉ある賞を頂き誠に光栄です。我々が出展したゲームは、新しい震災記憶伝承や防災減災教育の在り方の提案を目指し、約2年前から研究室合同で進めてきたプロジェクトの成果です。今回のサイエンス・デイでの出展は本プロジェクト初の対外的な公開となりました。まだ多くの課題がありましたが、多くの方がコンセプトに共感してくださり、応援してくださったことを大変心強く感じております。贈賞式では、審査員の先生方から、今後の改良や実社会への展開に対して期待するコメントを頂きました。この受賞を機に、さらに本ゲームを発展させ、実際に地域に対して貢献していきたいと考えています。
 最後に、卒業研究で本ゲームの開発に取り組んだ卒業生の岩佐亮太氏と佐々木元志氏をはじめ、本出展に協力してくれた佐瀬研究室・三戸部研究室の学生の皆さんに感謝します。また、本出展は公益財団法人中山隼雄科学技術文化財団による研究助成(助成研究A 課題名「砂場インタフェースによる津波防災まちづくりゲーム」)の補助を受けたものです。ここに感謝の意を表します。

5.プログラム紹介文

 私たちは、正しい知識を楽しく習得できる防災教育の実現を目指し、子供が楽しめる津波防災まちづくりゲームの開発を行っています。このゲームでは、テーブル上に海岸のある街の模型(ゲームフィールド)が設置されており、プレイヤーは堤防などの防災アイテムを街に配置して「自分だけの津波に強い街」を作ることができます。その街に対し、コンピュータシミュレーションによる津波が襲います。津波は堤防を乗り越えて避難ルートや避難所に向かってきます。限られたポイントを使って堤防や海岸林、避難路をうまく配置し、津波が来ても人々が安全に避難できる街を作ることがこのゲームの目標です。様々なまちづくりを試して、高得点を目指そう!

6.趣旨・ねらい(どのようなことをねらいとして、出展内容を考えましたか?)

 本出展内容は、現在進行中の研究プロジェクト「砂場インタフェースによる津波防災まちづくりゲーム」の試作機の展示である。同プロジェクトは子供でも楽しく津波防災を学べる体験型ゲームを作ることを目的としている。目的とするゲームの最終形態にはまだ到達していないが、現段階で子供や市民にとって楽しめる最低限のレベルになったと考え、出展に至った。
 本プロジェクトは被災記憶の風化に問題意識を持ち開始したものである。被災記憶の伝承方法として口伝や映像記録などがあるが、現代ではより直感的で興味を引き付けるデジタル技術の利用が有効と考えられる。ただし、被災追体験(被災のVR体験など)のような恐怖を煽る方法は、体験そのものに嫌悪感を持たれてしまい、多くの人が体験したいと思えるものではない。そこで我々は、誰もが体験したいと思えるような記憶伝承・防災減災教育の在り方を目指したいと考え、本ゲームの開発を開始した。本ゲームは、ゲームフィールドが模型として実体化されており、直感的な操作(堤防の配置など)を行うことができる。堤防の配置にもとづいて数値シミュレーションを実行し、津波や堤防の役割を客観的な視点で見ることができる。結果は得点化され、高得点を目指して遊んでいるうちに、防災・減災のための知識(堤防、海岸林、避難経路、ハザードマップ、防災警報)が身につくことを狙っている。現在は試作機であり課題は多いが、実際に子供や市民の方に触れてもらい、今後の開発に生かしたいと考えるとともに、まさに進行中の開発プロセスを来場者の方に感じていただきたいと考えている。

7.具体的な出展内容(6.の目的を実現するために、どのような出展内容としましたか?)

 開発した試作機は、ゲームフィールド、模型、カメラ、計算機で構成される(図1参照)。ゲームフィールドは、海岸沿いの町を模した1/1000スケールの土台である。ゲームフィールドには、避難者位置を示す点と避難路を示す道路が記されている。また、避難場所である建物の模型が設置されている。プレイヤーは、模型の堤防(木材)、海岸林(人工芝)を配置して自分だけの街を作ることができる。当日の模型配置の様子を図2に示す。
 プレイヤーが街を作った後、カメラにより堤防の高さ・長さ・向き、海岸林の位置などが取得される。それらの情報に基づき、計算機において津波の数値シミュレーションが実行される。シミュレーションの結果の映像は、出展ブースのどこからでも見える大きいスクリーンにプロジェクタで投影される(図3参照)。映像では津波が街に流れ込み、避難経路や建物を飲み込んでいく様子がCGで表示される。もし何も防災対策をしていないと、建物自体が流されてしまう。そのため、プレイヤーは適切に堤防や海岸林を設置し、建物を守る必要がある。また、避難をしている間に避難経路に津波が流れ込まないように、避難経路を守ったり、避難経路を作成したりする必要がある。ハザードマップや防災無線などアイテムを使って避難を迅速化することもできる。またこれらの対策には費用が掛かり、予算ポイントを消費する。最終的に、守ることができた避難経路の数と避難完了時間、予算ポイントの残りに基づき、総合得点が表示される。当日はプレイ結果をレポートとして印刷し、プレイヤー(体験者)に配布した(図4参照)。
 プレイヤーはレポートの結果を参考によりよい街づくりに再チャレンジすることができる。高得点を目指して遊ぶうちに、堤防、海岸林、ハザードマップや防災無線といった防災・減災に関する用語とその役割が自然に身につくことを期待している。

8.出展内容を説明する写真や図(1点以上)

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図1 装置外観
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図2 ゲームフィールドへの模型配置
20191125-31

図3 シミュレーション結果のスクリーン投影
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図4 結果レポート
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9.科学を社会に伝えるために、特に工夫していること・意識していることは何ですか?

 今回の出展では、限られた時間の中でゲームの完成度を可能な限り高めた上で、体験の質を高めるための出展上の工夫にも注意を払って展示を行った。具体的な工夫を以下に記す。

①適切な導入
ブースに訪れた来場者に、出展の概要、意図、ゲームルール、前提知識(防災減災要素など)をスムーズに説明するよう心掛けた。
②待ち時間の有効利用(プレイ計画用紙の記入と模型試し置き)
今回は待ち時間が10分以上のケースが多かったので、その間にこれから行う模型の配置や予算の見積もりを、実際に図面や計算を紙に書いて考えてもらった。これにより、行き当たりばったりでなく、しっかり考えた上でゲームプレイに臨んでもらうことができた。また、ゲーム筐体を1台しか用意できなかったので、本番用筐体の隣に試し置き台を設置した。前のプレイヤーが終了したら試し置き台の模型配置をそのまま本番筐体に置き換えてもらい、迅速な交代をしていただけるようにした。
③フィードバックと再挑戦
ゲームプレイの後には、体験者の模型の置き方と得点をもとに、より得点を高めるためのコメントをフィードバックした。これにより、防災減災要素や避難経路の効果的な使い方の理解を促した。フィードバックを行った後に再挑戦していただくことで、学んだことをゲームで確認できるようにした。
④競争
プレイの結果の得点をランキングにすることでゲームに取り組むモチベーションを喚起させた。ランキングは子供部門(小学生以下)と一般部門(中学生以上)とした。
⑤記録
プレイした記録をA4用紙1枚のレポートとして持ち帰ってもらった。これによって、ゲームで学んだ防災減災要素などの知識を後で思い出せるようにした。

以上のように、出展内容の中心的コンテンツだけでなく、その前後の体験の流れも意識して準備することで、来場者の体験をよりよいものにできたと手ごたえを感じた。

10.その他、アピールポイントなど、ご自由にご記入ください(自由記入欄)

 この取り組みは震災記憶伝承・防災減災教育・防災まちづくり計画などに実際に貢献することを目的としています。これからも、改良を続けるとともに様々な機会で展示していきたいと思います。引き続き応援をお願いいたします。

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