「世界は何から出来ているんだろう?」「物をどんどん分割していくとどこまで小さくなるんだろうか?」そんな疑問を突き詰めた結果、物質は元素(原子)からなり、原子は原子核と電子、原子核は陽子と中性子、さらに陽子と中性子はクォークと名付けられた素粒子から出来ていることが分かっています。
素粒子・原子核という小さな世界を研究していく過程において、放射線や放射性物質が発見されました。最初に発見された放射性物質は天然にあるもので、我々の身の回りにも(意識しないけど)ありふれています。人工の放射線発生装置を使って、放射線は医学や工学に応用されています。
医学的応用では、レントゲン写真や、X線CT、PET(陽電子放射断層撮影)、ガンへの重粒子線治療など、診断や治療につかわれています。工学的応用では加速器から出てくる放射光と呼ばれる光を使って物質の非破壊検査を行ったり、放射線を照射することにより高分子の構造を変化させ高性能な製品に変えたり、また原子力発電等があります。東北大学の青葉山キャンパスで建設が進められていた放射光施設ナノテラスの完成が近づいています。
私自身は、直接応用とは結びつかない基礎科学の分野、原子核物理の実験研究を行っています。その経験・知識に基づいてこの講座プログラムでは、放射線・放射性物質とは何かを、素粒子・原子核の世界から説明します。ベクレル・シーベルトと言った単位が何なのか、また測定器がどのように放射線量を測定しているかについても話をします。
自然科学では、定性的ではなく定量的に物を見ることが重要です。放射線測定では、測定値が必ず「ゆれ」ます。どのようにゆれているかを実際に測定してもらい、グラフやヒストグラムにして揺れ具合を可視化してもらいます。
この講座では、最初に放射線についての説明を15分行います。その後γ線の測定を15分予定しています。