学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティでは、「科学・技術の地産地消のレストラン」と銘打ち、地域の様々なリソース(資源)を活用した科学講座を開発・実施することで、地域に眠る知的資源が次世代育成に還元される循環をつくることを目指しています。このレストランでは、物理オリンピックへの挑戦も視野に入れています。
本レストランのオープニングイベント第1弾として、「物理オリンピックを体験しよう!」(プレチャレンジ in 仙台)を3月22日、東北大学片平さくらホール(仙台市青葉区)で、物理オリンピック日本委員会(北原和夫理事長)と連携して開催し、中高生ら9人が参加しました。
本イベントでは、仙台で本田光太郎博士(東北帝国大学)が約100年前、当時世界最強の磁石「KS磁石鋼」を発明したことにちなみ、全国物理コンテスト(物理チャレンジ)で過去に出題された実験問題のうち、磁石を題材にした物理実験が取り上げられました(物理チャレンジ2006年の実験課題)。
実験では、ネオジム磁石球と二つの鋼球を直線レール上に並べ、そこに別の鋼球をネオジム磁石球めがけて衝突させると、ネオジム磁石球に衝突した瞬間、反対側の鋼球が予想もできないほどの猛スピードではじき飛ばされる現象を観察。この「ガウスの加速器」と呼ばれる衝突実験の仕組みを解明しょうと、参加者たちは、実験装置の組み立てから測定・解析まで、試行錯誤しながら実験に挑戦しました。近藤泰洋先生(物理チャレンジ担当理事)を始めとする物理オリンピック日本委員会の先生方や、助手の大学生たちからレクチャーを受けながら、力とエネルギーの関係や、運動量とエネルギーが保存されることを、参加者たちは実験を通じて実感していたようです。
また、物理オリンピックを紹介する講演会も行われました。物理オリンピック日本委員会・理事長の北原和夫先生は、物理オリンピックの意義や、求められる能力について紹介し、物事を筋道を立てて考える物理の意義と魅力を語りました。次に、国際物理オリンピックで宮城県で初めて金メダルを受賞した(2011年)佐藤遼太郎さん(秀光中等教育学校卒)が、物理オリンピックの体験談を紹介。全国・世界の物理好きとの交流が一番の魅力であり、「第2チャレンジで面白い体験ができる。ぜひ第1チャレンジを突破して」と、参加者を激励しました。続いて、物理オリンピック日本委員会・副理事長の長谷川修司先生による「第1チャレンジ」の説明がありました。長谷川先生は、第1チャレンジ突破のコツは、実験レポートにあると話し、良い実験レポートの書き方を、具体例も交えながら、詳しく説明しました。
参加した中高生たちは、「物理も実験も好きですが、学校ではなかなか実験できる機会が少ないため、今回、自分で色々確かめることができたのが新鮮で、あっという間の楽しい時間でした」「学校の授業では、30分くらいしか実験ができず、実験装置も一人で専有できませんが、今回は約5時間、自分だけの実験装置を使って、自分の納得が行くまで自由に実験して確かめることができたので、とても楽しかったです」「今回、物理オリンピックの先生方から直に解説いただいた上に、実験後に正解をもらった後も、自分で確かめることができたので、次回の物理チャレンジ挑戦にむけて大変参考になりました」などと感想を話していました。
イベント終了後の交流会では、「科学と社会」意見交換・交流会(ゲスト:物理オリンピック日本委員会)と併催で、中高生たちは、講師である物理オリンピック日本委員会や、参加した研究・教育関係者たちとの交流を深めていました(交流会のレポートは、こちらの報告ページをご覧ください)。
名称 | 科学・技術の地産地消レストランオープニングイベント第1弾 「物理オリンピックを体験しよう!」(プレチャレンジ in 仙台) |
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主催 | 特定非営利活動法人 natural science |
共催 | 特定非営利活動法人 物理オリンピック日本委員会、宮城県 |
協力 | 公益社団法人 応用物理学会 東北支部 |
内容 |
科学・技術の地産地消レストランオープニングイベント第1弾
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講師 |
・北原和夫先生(物理オリンピック日本委員会 理事長) ・近藤泰洋先生(物理オリンピック日本委員会 物理チャレンジ担当理事) ・長谷川修司先生(物理オリンピック日本委員会 副理事長) ・佐藤遼太郎さん(『国際物理オリンピック2011』金メダル受賞者、秀光中等教育学校卒) |