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「HTML5 + Web Audio API によるオーディオデータプロセッシング」 出版決定

978-4-87783-375-6

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 本事業で実施した科学講座「音ってそもそもなんだろう?」(講師:竹中恭介、藤原脩)がきっかけとなった書籍が出版されましたのでご報告申し上げます。

【書名】HTML5 + Web Audio API によるオーディオデータプロセッシング
    「音」の理論から生成、分析、オリジナル電子楽器の開発まで
【著者】定非営利活動法人 natural science 遠藤 理平/竹中 恭介/藤原 脩
【出版社】株式会社カットシステム
【判型】B5変型判、392頁
【本体価格】3,800円(税込 4,104円)
【ISBN】978-4-87783-375-6

 本書は、最新ウェブテクノロジーの一つであるHTML5を用いたキーボード型電子楽器アプリケーションの作成を通して、単にHTML5によるウェブアプリケーションの開発方法だけでなく、「そもそも音とは何か?」という疑問から始まり、楽器の音色の起源や音階・調性・和音といった音楽の基礎まで、物理学と音楽の両面からアプローチし、「音」を深く理解することを目的としています。そして、両アプローチで得られた知見を元に、最終章では、電子楽器アプリケーションの開発を通じて、任意の波形の音を生成できるHTML5のWeb Audio APIの利用方法について詳しく解説します。
 Web Audio APIとは、ウェブブラウザを介してデバイスの機能を利用する各種API(Application Programming Interface)の一つです。これを用いることでDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)などのソフトウェアで実現可能なミキシング、編集、フィルタリング等の機能を、なんとウェブブラウザだけで実現することができます。同APIは、ネイティブアプリケーション並の機能をもつウェブアプリケーションを開発する上で重要な役割を果すことから、非営利団体World Wide Web Consortium(W3C)による作業草案(ワーキングドラフト、WC)段階でありながら、主要ウェブブラウザでの実装がすでに進んでいます。本書は同APIの基本的な利用方法を示すことも目的の一つとし、第4章にまとめました。
 本書は、物理学、音楽、情報科学をそれぞれ学んできた立場の異なる3名で執筆されました。「音」といえば、それは波動現象という物理現象であり、それらは振幅、周波数、波長、位相というパラメータで特徴づけられ、重ねあわせの原理で全て説明できる(1.2節、2章、付録B)と考える物理屋にとって、和音や音色の美しさの裏に存在する物理法則の実感は大変新鮮でした。また、音楽を学んできた者にとっては、これまで抽象的な言葉でしか表現できなかった楽器の音色(第3章)に、物理的な裏付けが得られたことで、音楽の楽しみ方や演奏に大きな刺激がありました。また、情報科学を勉強している者にとって、物理学、音楽といった異分野を、情報科学によって橋渡しできたという喜びがありました(第4章、第5章)。本書を通じて、日常生活に非常に身近な存在である「音」に対する認識と理解が著者ら同様、深まるきっかけとなれば大変嬉しいです。

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