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サイエンス・デイ オブ ザ イヤー2019(宮城県知事賞)受賞企画概要

20181103-7

1.出展プログラム名

サイエンスが面白いってことを君に伝えたいんだ!

2.出展団体名

仙台青少年理科学研究部会

3.構成員名簿(氏名・学年)

氏名 役職・学年
久保 莉梨子 聖ドミニコ学院小学校・6年生
氏家 妃那 岩沼西中学校・1年生
小山 紅璃 名取第一中学校・1年生
佐藤 紅羽 岩沼西中学校・1年生
松森 英香 名取第一中学校・1年生
茂木 さくら 聖ウルスラ学院英智小・中学校・7年生
市橋 めぐみ 角田中学校・2年生
齋藤 花楠子 五橋中学校・2年生
佐藤 星斗 名取第二中学校・1年生
大河内 一希 閖上小中学校・8年生
海藤 那央 愛宕中学校・3年生
林本 雄飛 富谷第二中学校・3年生
今野 一弥 仙台高専・教授
飯藤 將之 仙台高専・教授
伊師 華江 仙台高専・准教授
佐藤 徹雄 仙台高専・准教授
藤田 智己 仙台高専・准教授
松原 正樹 仙台高専・助教

4.受賞コメント(約400字)

 この度は、宮城県知事賞を頂き心より感謝申し上げます。
 私たち仙台青少年理科学研究部会は、未来の科学者を目指して、科学に興味がある小学5年生から中学3年生までが仙台高専ジュニアドクター育成塾で活動しているグループです。このジュニアドクター育成塾では、小中学校では普段扱うことのできない大きな実験装置や、薬品を使って実験を行い、毎回わくわくと驚きの連続です。
 今回の出展では、科学の面白さを多くの方々に体感して頂きたいと思い、宇宙から気象、植物、金属、原子まで、一人ひとりが一番興味のあるテーマを選び、それらを一つの教室にギュッと凝縮して、どうしたら共感してもらえるか、実験道具からポスターまで、試行錯誤しながら取り組んできました。この出展を通して、来場者の方々に科学って本当に面白いと感じてもらえたら幸いです。そして、私たち自身も、科学の面白さを再確認することができました。
 この受賞を励みに、これからも科学について深く、そして楽しく学んでいきたいと思います。本当にありがとうございました。

5.プログラム紹介文

 サイエンスの魅力は無限大!私たち小・中学生の科学大好きグループが、身の回りのサイエンスの面白さを色々な実験を通してみなさんに伝えます。宇宙、気象、風、光、植物など、互いに関連しながら連続的に変化するオムニバス形式の実験に参加して、私たちの身の回りにあふれるサイエンスの不思議な謎を壮大なスケールで解き明かしていこう!

6.趣旨・ねらい(どのようなことをねらいとして、出展内容を考えましたか?)

 本出展にあたり、まずサイエンスとは森羅万象に関わる全てを包括した学問領域であるという基本に立ち返り、宇宙から原子までのあらゆる事象に心を巡らせて個々の発表者が最も関心を寄せる学問分野をまとめました。月からナノの世界までスケールの振れ幅の大きなテーマ群をギュッとひとつの教室に凝縮して、世の中に広がるサイエンスの多様さを表現していることが本出展の特徴です。その上で、来場者が体験を通してサイエンスの楽しさを実感できるように、装置や道具に触れながら能動的に実験に参加できる空間設計を行い、さらに発表者と来場者が対等に刺激し合える関係性の構築を図ることを目的とする、「体感型相互学習式サイエンスプラネット」を出展のコンセプトとしました。

7.具体的な出展内容(6.の目的を実現するために、どのような出展内容としましたか?)

7-1.出展内容の概要

 本出展のテーマ設定にあたり、サイエンスの範疇に入るあらゆる領域の中から発表者が特に関心を持つ分野について、来場者が装置や道具を手にとって触れることができたり、一緒に実験が行えることを中心に据えて、発表者自身でテーマを設定しました。集まったテーマは、自然現象や人間の生活に基づいたものなど広範囲の分野におよびましたが、それこそがまさにサイエンスの多様性を表現するものと捉えて整理し、互いに関連し合うテーマを連結することで、宇宙から原子に繋がる一連の流れの中でサイエンスの楽しさを実感できるブースとしました。具体的なテーマの流れは、宇宙(月)、光と気象(虹),風(揚力),光と植物(光屈性・走光性),植物の香り(エッセンシャルオイル),植物の繊維(紙),植物の色(草木染),人工的な色(フリクションインク),鉱物と色(ビスマス結晶),ナノサイズの色(金ナノ粒子)となります。いずれも小中学生の発表者には高度な内容を含みますが、内容を消化し小中学生自身の言葉で話しができるように取り組みました。

7-2.各テーマの内容

① 宇宙(ソラ)を覗こう!(宇宙と天体望遠鏡)
 宇宙の魅力を知る第一歩ともいえる地球から一番近い天体「月」を皮きりに、星雲や小惑星など、宇宙が秘める不思議を探りました。来場者は、手作りの月観察用望遠鏡を手にとって覗いてその性能も確認できるようにしました。月の観察をきっかけとして、宇宙を覗いてみる魅力を発信しました。
② 7色のアーチ(虹)
 虹はどのようにしてできるのか?の疑問に答えるべく、黒画用紙に貼り付けたガラスビーズや液体が入った水槽に、来場者がライトを当てることで発生する虹を観察してもらいました。水槽の実験では、混じらない2種類の液体を使うことで少し変わった虹が観察できると共に、虹が発生する原理についてより深く理解できるように工夫しました。
③ 太陽にのびろ!(植物の光屈性)
 植物はどのようにして太陽の方向を向くのだろうか?植物が光に向かって曲がる光屈性について、カイワレダイコンに対して赤、緑、青色のLEDライトをそれぞれ照射し、光の色の違いによって光屈性に違いがあるのかどうかを観察しました。植物の成長と光の関係について実験を通して学びました。
④ どうなっているの?ミドリムシ!(ミドリムシの走光性)
 植物と動物の両方の性質を持つミドリムシの生態に迫る実験です。ミドリムシに光を照射した際の挙動(走光性)を顕微鏡で観察しました。このとき、強い光に対して光から逃げる「負の走光性」と弱い光に集まる「正の走行性」を示すことを、実験を通して理解できる内容としました。
⑤ Plant Power ~植物の香り~(植物から精油の抽出)
 人間が活用している植物の力の第一弾は「エッセンシャルオイル」。植物からエッセンシャルオイルを抽出する方法を解説し、来場者には実際に抽出したラベンダー、ローズマリー、スギ、クロモジオイルを嗅ぎ分けてもらいました。「香り」という切り口から植物の魅力を探究しました。
⑥ これであなたも和紙職人!?(紙とセルロース)
 人間が活用している植物の力の第二弾は「紙」。トウモロコシの皮やトイレットペーパーを粉砕して作った和紙を比較しながら、和紙ができる過程を解説しました。来場者には、簡単な紙すき体験を通して具体的に紙の作られ方を学習することもできるように工夫しました。さらに、日本発の技術として現在盛んに研究が進められているセルロースナノファイバーについて、実際に触れながら新しい材料の世界にも一歩足を踏み入れることもできるようにしました。
⑦ やさしい色の草木染(草木染)
 人間が活用している植物の力の第三弾は天然の色素を活用した「草木染」。来場者には、玉ネギの皮から抽出した色素を使ってウールボールを染める草木染体験をしてもらいました。金属イオンを用いて色素の発色や色止めを行う「媒染」の工程の違いで、同じ色素でも色が変化する様子を、化学反応の視点から考えていきました。
⑧ 消えるインクの謎を解け!(フリクションインク)
 人工的に分子設計して作られた最新のインクのひとつである、書いても消せるインク「フリクションインク」の謎に迫りました。インクがなぜ消えるのか?そして再び色が現れるのか?といった現象について、短時間で色が変化するよう工夫された実験を行いながらその原理を学べるようにしました。
⑨ ビスマス結晶の魅力を探る!(ビスマス結晶)
 独特の階段状の四角形が連なる形状と虹色に輝くビスマス結晶について、その特徴的な外観の謎に焦点を当てました。来場者には、実際にビスマス結晶に触れて詳しくその結晶の様子を観察してもらい、手作りの結晶模型を使ってビスマス結晶の持つ結晶の形について理解を深めるとともに、ビスマス結晶の魅力を体感することができるようにしました。
⑩ 金ナノ粒子 de 構造色(金ナノ粒子)
 金の粒子をナノメートルのサイズまで細かくすると、金塊とは全く異なった色が現れます。ここでは、そのようなナノサイズの粒子や穴の整列が示す構造色について、ビスマス結晶の他に貝やDVDなど身近に見られる例とともに理解を深めていきました。不思議なナノ粒子を観察しながら来場者を自然にミクロの世界に誘いつつ、色って何だろう?ということまで考えていただきました。
⑪ 飛行機ってどうして飛ぶの?(風と揚力)
この実験では、子どもたちの(1)翼ってどうしてあの形なの?、(2)風にはどんな力(性質)があるの?、(3)翼が風を受けると何が起きるの?の疑問をもとに、様々な実験を通して飛行機がなぜ飛ぶのかを解明していきました。

7-3.文字探しゲーム

 来場者の能動的な参加を促進する意味を込めて、各実験を巡って実験の中に隠された文字を探し集める「文字探しゲーム」を取り入れました。
 例えば、手作り望遠鏡を覗いた先に見える文字を探すことで望遠鏡の性能を確認できるようにしたり、顕微鏡で覗いた先のプレパラートに書いた文字にミドリムシが集まる様子を観察するなど、来場者が実験により集中して楽しく参加するためのきっかけづくりのツールとして「文字探しゲーム」を活用しました。文字を集めてくれた来場者には、オリジナルの元素の周期表マグネットをプレゼントしました。

8.出展内容を説明する写真や図(1点以上)

図1.望遠鏡の作製
1

図2.虹の発生の確認

図3.ミドリムシの観察

図4.ラベンダーオイルの抽出

図5.トウモロコシの皮から紙の作製

図6.玉ネギの皮による草木染めの実験

図7.ビスマス結晶の作製

図8.金ナノ粒子の合成

9.科学を社会に伝えるために、特に工夫していること・意識していることは何ですか?

 本出展では、サイエンスの面白さをいかに来場者に伝えるか、ということに主眼を置き、来場者が装置や道具に触れながら能動的に実験に参加できる空間をつくり、発表者-来場者間の心理的距離をすぐに縮められるような工夫を取り入れることとしました。
 まず、色々なテーマの実験を一つの教室に詰め込むことで、サイエンスとは身の回りに起こり得るあらゆる現象を対象とした多様性に富んだ学問領域であることを体感してもらい、その間口は広く、来場者がどこかで琴線に触れるテーマに出会えるだろうという予感を感じられるようにしています。
 そして、来場者が能動的に参加できる空間づくりとして、装置や道具の安全性を第一に考え、例えば、大きな実験装置や染料が入っている容器などは倒れないように固定したり、実験によっては来場者に手袋の着用を徹底させるなどしました。そのような配慮があった上で、来場者には安心してどんどん実験装置や道具に触れていただくこととしています。さらに、発表者-来場者間の対話を重視して、お互いに同じ目線で会話し、積極的に発表者から話しかけることで来場者から質問しやすい雰囲気作りを心がけることにしました。実験の説明についても、原理や用語を理解して自分の言葉で話すことで、幅広い世代のどの来場者にも理解できて楽しめることを意識しました。
 また、私たちの普段の取り組みは、「仙台高専ジュニアドクター育成塾」のホームページやFacebookで公開しており、広く活動を知っていただけるよう努めています。さらに、本出展の様子についてもYouTubeで動画配信しており、上記のホームページやFacebookからも視聴できますので是非ご覧になってください。
 HP URL: https://www.sendai-nct.ac.jp/natori/jrdoctor/index.html
 Facebook:https://www.facebook.com/NITSendaiCollgeJrDr/

10.その他、アピールポイントなど、ご自由にご記入ください(自由記入欄)

 本出展では、発表者と来場者がともに刺激を受け合いながら相互に学習できるスタイルを取り入れました。これは、来場者は発表者自身が最も関心のあるテーマの実験に参加することで興味の扉が開き、発表者は来場者に最も伝えたいテーマを披露し理解してもらうことで自信を深めることを期待しての取り組みです。この際、発表者は最後に来場者に「質問はありませんか?」と必ず問いかけるようにしました。来場者が質問しやすい雰囲気とし、発表者は来場者からの質問によってさらに刺激を受けて思考を働かせ、さらなる学習に繋げることを目標としたためです。これにより、発表者にとってサイエンス・デイは、これまでに学習してきたことの「発表の場」でもあり、「将来に繋がる学習の場」となりました。
 最後に、発表者は本出展において、ほぼ一人ひとテーマの実験を披露し、ブース全体では合わせて11テーマの実験を行いました。そこで、来場者に発表内容を理解してもらえるように、実験装置や道具、そしてポスターなどの発表方法にそれぞれ自分なりの工夫を凝らしました。そのような様子を上記の動画でご覧いただければと思います。

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