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サイエンス・デイ オブ ザ イヤー2023(東北経済産業局長賞)受賞企画概要

1.出展プログラム名

「仙台牛」の美味しさの秘密を知ろう!

2.出展団体名

公立大学法人宮城大学食産業学群 動物遺伝育種学研究室

3.構成員名簿(氏名・学年)

氏名 役職・学年
須田義人 教授
呂 官霖 食産業学研究科 博士課程前期2年
佐々木 優夏 食産業学群 4年生
須藤 駿 食産業学群 4年生
早見 紗華 食産業学群 4年生
照井 杏捺 食産業学群 4年生
黒田 怜花 食産業学群 4年生

4.受賞コメント(約400字)

 この度選出頂きましたサイエンスオブザイヤー2023に対しまして、心より御礼申し上げます。本当に有難うございました。日頃、仙台牛の生産や遺伝的改良に関わっている一人としてもとても嬉しく思っております。サイエンスデイ2023へ出展させて頂いた切っ掛けとして、消費者の皆さんに「仙台牛」をもっと知って興味を持ち、地域の誇りとして欲しいという気持ちがあり、特に「仙台牛」の歴史や生産農家さんや関係者の絶え間ない努力を是非とも次世代を担う子供達に知って頂きたいという強い想いがありました。仙台牛(肉)は日本一厳しい評価基準に合格した牛肉であり、なぜ高い均質性がとれたとても美味しい牛肉と言えるのか、科学的エビデンスを示しながら実験しながら説明をさせて頂きました。参加してくれた生徒さん達からご理解いただいたようで、とても嬉しく思っております。今後の研究活動の励みになりますし、これまで以上に自信をもって「仙台牛」を皆さんにご紹介して参りたいと思っております。この度は本当に有難うございました。

5.プログラム紹介文

 牛肉の美味しさを知るには、脂肪がどのような質で、筋肉の柔らかさがどの程度かが重要なポイントになります。このプログラムでは、脂肪組織の美味しさの分析と筋肉組織の柔らかさの評価を紹介し、体験していただこうと思います。

6.趣旨・ねらい(どのようなことをねらいとして、出展内容を考えましたか?)

 これから様々な食材に出会い味わう子供達に、”牛肉の美味しさ”とは何か、サイエンスに基づいて考え、感じ、特に和牛肉ブランド「仙台牛」の歴史と伝統を知って、誇りを持って将来に伝えて欲しいと思い出展しました。特に日本国内にしかいない黒毛和種特有の霜降り牛肉と外国品種の赤身牛肉を食べ比べ、その時の感覚について目で確認できる現象とサイエンスに基づいた理由を結び付けて理解できるようになって欲しいと願っています。そして、宮城県内の生産者、各種組合、大学研究者ら、産学官が一体となって長年かけて作出した和牛肉ブランド「仙台牛」が、なぜ国内唯一の最高レベルの霜降り牛肉と評されるのか、たった一頭の雄牛が持つ長い歴史秘話を紹介し、遺伝の力とコントロールの難しさを平易かつドラマティックに画像と図をスクリーンに投影しながら解説しました。そして、遺伝現象が成し遂げた結果を、人は食材生産技術(品種改良と選抜育種)として上手く利用している一例として紹介することで、サイエンスの実装性を理解してもらうように努めました。また、子供達の故郷あるいは近隣地域である宮城県が生み出したこの「仙台牛」というブランド銘柄が食材としての信頼の証となり、それを子供達の”地元・地域の誇り”にして欲しいという願いを込めて出展させて頂きました。

7.具体的な出展内容(6.の目的を実現するために、どのような出展内容としましたか?)

 脂肪の融点の違いからジューシーさを、前歯の動きを模したせん断力の違いで柔らかさを、和牛肉の美味しさの秘密を説明しました。特に脂肪融点については、二本の毛細管を使って仙台牛と外国産牛の脂肪組織を詰めて、手の体温をつかって同時に温めてもらい、仙台牛の方が明らかに滑り落ちる速度が速いことを確認してもらいました。また、口の中の前歯の動きを模したテンシプレッサーを使って、肉が噛み切れるまでに必要な力を比較してもらい、明らかに仙台牛の方がその力が小さくて済むことを確認してもらいました。勿論、人の嗜好性には違いがあり、客観的にも柔らかくてジューシーな霜降り牛肉が美味しいと決めつけることを避けるために、子供達の感想を消費者型の食味試験アンケート形式で行ってリアルタイムに集計し、柔らかくてジューシーと感じる肉が高い割合の子供達が美味しいと感じていることを紹介しながら説明することを心がけました。一方で、そういう肉を美味しいと感じない子供たちもいることを想定し、その子供たちの意見を尊重するために、外国産牛肉の赤身肉に感じる美味しさや特徴についてコメントしてもらい、挙げられたコメントについてサイエンスに基づく解説を加えるようにしました。そして、スライドを大きくスクリーンに投影し、和牛の歴史や写真、模型を見てもらいながら解説を加えました。特に仙台牛のほとんどが、たった一頭の雄牛(「茂重波」号)の子孫達であることを紹介しました。

8.出展内容を説明する写真や図(1点以上)




9.科学を社会に伝えるために、特に工夫していること・意識していることは何ですか?

 これから様々な経験をして成長していく子供達に、身近なことをサイエンスに基づいて考え、感じ、目で確認できる現象について、説明し理解できるようになって欲しいと願っています。そして、サイエンスがあらゆるところで社会実装されていることを体験してもらいながら、強く興味を持って欲しいということを意識しています。これらのことを通じて、地元愛、地域愛を強めて欲しいと願っています。

10.その他、アピールポイントなど、ご自由にご記入ください(自由記入欄)

 大学生や大学院生のサポートによって実施しました。子供たちが年長の大学生らと触れ合うことで、研究することや学ぶことに「あこがれ」のような気持ちをもって、学ぶモティベーションを高めてくれるように会場を工夫しました。食べ、感じ、障り、目で見て、現象を考える、これらの組み合わせを子供達に実感してもらうことで、よりサイエンスの身近さを感じてくれるように心がけました。

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