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サイエンス・デイ オブ ザ イヤー2025(仙台市長賞)受賞企画概要

1.出展プログラム名

自分が撮った動画をCG空間で鑑賞してみよう!

2.出展団体名

公立大学法人宮城大学 薄井研究室

3.構成員名簿(氏名・学年)

氏名 役職・学年
薄井 洋子 事業構想学群 助教
阿部 遥斗 事業構想学群 4年

4.受賞コメント(約400字)

 このたびは仙台市長賞という栄誉を賜り、厚く御礼申し上げます。本企画「自分が撮った動画をCG空間で鑑賞してみよう!」では、フォトグラメトリを用いて参加者が撮影した動画を立体化し、VRで鑑賞する体験を通じ、文化と科学をつなぐ新たな方法を探りました。参加者には「地域の宝」や「大切なもの」をテーマに、撮影方法マニュアルを参考にしながらスマートフォンで撮影していただき、そのデータを立体化して会場でVR体験として共有しました。また当日は、参加者同士で撮影の工夫を議論し、i-Padで3Dスキャンした立体物をデジタル展示する体験も提供いたしました。これにより、身近な技術を活用して文化資源を保存・継承できる可能性を具体的に示すことができました。本取り組みは、科学技術を市民参加型の学びへと結びつける実践的研究であり、文化資源の保存と教育的活用の両面から意義を持つものと考えています。ご支援くださった市民の皆様、運営・審査の皆様、そして関係各位に心より感謝申し上げます。今後も仙台を拠点に、地域の記憶を可視化し、次世代の学びと創造性を育む活動を進め、科学を社会に開く研究へと発展させてまいります。

5.プログラム紹介文

 本講座では、参加者が事前に提出した動画をもとに3D立体物を再現し、VR(仮想現実)を使いその立体物を鑑賞してもらいます。当日は、動画から3D立体物を再現する方法についての説明を行い、参加者の皆さんには自分が撮影した「モノ」を仮想空間で立体的に見てもらう予定です。再現された3D立体物は、VR環境で体験することができます。参加者はVRヘッドセットを使用して、VR内で立体物を自由に観察し、触れることができます。この体験は、視覚的な没入感を提供し、実際にその場にいるかのような感覚を味わうことができます。また、VRでの体験後、参加者自身が3Dスキャンを体験する機会も提供します。参加者は専用のスキャニング機器を使用して、自分の手元にある物体をスキャンし、デジタルデータとして保存することができます。この体験を通じて、3Dスキャン技術の基本的な原理や応用方法について一緒に考えていきたいと思います。

6.趣旨・ねらい(どのようなことをねらいとして、出展内容を考えましたか?)

 本講座のねらいは、参加者が最新の科学技術を「体験」として実感し、科学の持つ力や魅力を身近な形で理解することです。フォトグラメトリという、写真や動画から立体を再現する技術を取り上げ、文化資源や身近なものをデジタル化できることを示しました。これにより、科学は単なる専門的な知識にとどまらず、文化や日常生活の中に役立つ存在であることを伝えたいと考えました。特に、地域に残された文化や遺産は大切な宝であり、それらをどのように次世代へ継承していくかは大きな課題です。従来は高価な機材や専門的な知識が必要でしたが、今ではスマートフォンや簡単な機材で記録が可能になっています。そこで、VRを通じて「残す」「伝える」という体験を実際に行うことで、科学技術の実用性と未来への可能性を実感できるように工夫しました。この体験が、科学を自分ごととして捉えるきっかけになることを願っています。

7.具体的な出展内容(6.の目的を実現するために、どのような出展内容としましたか?)

 本講座の流れは大きく三つに分かれます。第一に、参加者が「大切にしたいもの」や「残したい地域の宝」をテーマに動画を撮影します。撮影方法のマニュアルを事前に配布し、誰でも簡単に挑戦できるよう工夫しました。第二に、その動画をもとにフォトグラメトリ※1という技術で3Dモデル※2を生成します。これは、さまざまな角度から撮影された映像を解析して立体化する方法で、完成したデータはVR※3空間に取り込みます。第三に、完成した3DモデルをVRヘッドセットで鑑賞します。参加者は仮想空間に入り込み、立体を自由に観察し、まるで触れているかのような感覚を味わうことができます。さらに会場では、iPadを用いた3Dスキャン体験を実施し、身近な物をその場でデジタル化し、パソコン上に展示する試みも行いました。こうした一連の体験を通じて、参加者は科学技術が文化資源の保存や教育の場面でどのように役立つのかを、体感的に学ぶことができました。

※1 フォトグラメトリ:複数の方向から撮影した画像を解析し、立体物のモデルを作成する技術
※2 3Dモデル:コンピューター上の3次元空間に作られた立体物のデータ。形状や動きを表現できる
※3 VR(バーチャル・リアリティ):コンピューターで作られた仮想空間を、現実のように体験できる仕組み

8.出展内容を説明する写真や図(1点以上)



フォトグラメトリのための動画撮影:参加者が自分の「大切なもの」をスマートフォンで撮影している様子。動画は立体化の素材として活用されます。


VR体験:撮影した動画をもとに3D立体物を再現し、VRヘッドセットを使って鑑賞している様子。まるで実物を目の前にしているような臨場感を味わえます。

9.科学を社会に伝えるために、特に工夫していること・意識していることは何ですか?

 今回特に意識したのは、科学を「難しいもの」ではなく「身近で役立つもの」として伝える工夫です。たとえば、文化という一見サイエンスから離れている題材をあえて取り上げました。文化は生活に根付いたものであり、その保存や継承は誰にとっても身近な課題です。その課題に科学技術がどう貢献できるかを示すことで、文系的な側面と理系的な側面の橋渡しを意識しました。また、体験の流れを「撮影→立体化→鑑賞」とし、参加者がただ見るだけでなく、自分の手を動かし考えるプロセスを取り入れました。議論の場を設けたのも、参加者同士が撮影方法や工夫を共有することで、科学的思考や探究心を自然に育むことを狙ったものです。さらに、VRヘッドセットやi-Padといった身近な機材を使用し、誰でも簡単に取り組めることを強調しました。こうした仕掛けにより、科学を「遠い存在」から「自分ごと」へと感じてもらうことを目指しました。

10.その他、アピールポイントなど、ご自由にご記入ください(自由記入欄)

 本講座の大きな魅力は、未来の文化保存や学びのあり方を、誰もが実感できる点にあります。現在では、スマートフォンやタブレットといった身近な機器でも3Dデータを取得できるようになりました。つまり、専門家や研究者に限らず、私たち一人ひとりが自分の暮らしや町の様子をデジタルで記録できる時代が到来しています。しかし、技術が存在しても「文化を大切にする気持ち」がなければ、その保存は進みません。そこで本展示では、自分で撮影した動画をもとに立体化し、それをVRで体験するという仕組みを用意しました。この体験を通じて、「自分の宝物を未来に残す」という実感を持っていただくことを狙いとしています。こうした試みは、文化と科学を結びつける新しい視点を提供すると同時に、技術の進歩を社会にどう生かすかを考えるきっかけにもなります。科学の楽しさを味わうとともに、文化を未来へ残す重要性を知る体験として、本プログラムが参加者の皆様の心に長く残ることを願っています。

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