サイエンス・デイ オブ ザ イヤー2025(東北経済産業局長賞)受賞企画概要

1.出展プログラム名
「電波」って何だ? ワイドFM対応AM/FMラジオを作ろう!
2.出展団体名
日本無線株式会社
3.構成員名簿(氏名・学年)
| 氏名 |
役職・学年 |
| 大槻 秀夫 |
マリンシステム技術部 専門部長 |
| 田中 裕史 |
東北支社 支社長 |
| 瀧口 一弘 |
東北支社 副支社長 兼 営業課 課長 |
| 藤崎 洋行 |
東北支社 装備技術課 課長 |
| 三上 冬真 |
東北支社 装備技術課 |
| 安住 敏和 |
マリンシステム事業部 仙台支店 支店長 |
| 浅海 景子 |
ネットワーク技術部 主任 |
| 佐藤 治 |
防衛システム技術部 主任 |
| 二又 頌太 |
無線通信技術部 |
4.受賞コメント(約400字)
このたびは、「東北・経済産業局長賞」をいただき誠にありがとうございます。日本無線では、社会貢献活動の一環として2010年より小中学生を対象に「ラジオ工作教室」を開催しており、サイエンスデイには2012年から参加しております。この授賞したプログラムの目的は、組み立て方、半田付けを教えるだけではなく、電波に興味を持つための取組と考えています。内容としては電波の説明を身近なRF IDカード、GPS等の例などで学習してから、実際にラジオを製作します。製作しているラジオでは放送局を自分で選局して受信するので電波の周波数を理解しやすく、組立後にも役に立つと考えて取り組んでいます。また2025年は、日本でラジオ放送が始まって100年の年です。当社も創立110年ですが、創業当時の無線技術では主に船舶と通信するための技術でしたが、今ではスマートフォン、タブレットも利用されており、生活になくてはならない技術となっております。当社では無線技術を扱うメーカーとして、主に無線技術が身近に電波が使われていることを理解していただくための活動、さらに技術の継承の担い手として小中学生が未来のエンジニアとして育つための基盤づくりに取り組んでゆきます。
5.プログラム紹介文
AM放送がFMでも聞こえることをご存じですか?
この放送は「ワイドFM」と呼ばれ、AM放送と同じ内容を、FMの電波でクリアな音質で楽しむことができます。本プログラムでは、AMとワイドFMの両方を受信できるラジオを、部品のはんだ付けから自分の手で組み立てることができます。完成したラジオは無料でお持ち帰りいただけます。また、夏休みの自由研究にも役立つ「電波についてのお話」では、AMとFMの違いなどについて学ぶことができます。
ものづくりを楽しみながら組み立てたラジオのスイッチを入れ、実際に放送が聞こえてきたときの感動は、他ではなかなか味わえない特別な体験です。無線の仕組みを理解しながら、ものづくりの楽しさや放送を受信できたときの感動を体験してみましょう。
6.趣旨・ねらい(どのようなことをねらいとして、出展内容を考えましたか?)
ラジオ工作教室の目的と活動概要
本ラジオ工作教室は、子どもたちが科学から離れつつある現状に対し、「ものづくり」の楽しさや感動を体験してもらうことを目的としています。AM/FMラジオの製作を通じて、「科学の不思議」と「ものづくりの喜び」を五感で感じ取る機会を提供しています。教室ではまず、実験やクイズを通じて、ラジオが聞こえる仕組みである電波について楽しく学びます。その後、約15mのエナメル線を巻いてアンテナを作り、はんだ付けによって部品を組み立て、自分だけのラジオを完成させます。自分で組み立てたラジオから音が聞こえた瞬間の感動は、ものづくりの大変さを楽しい思い出へと変え、達成感と興味を育みます。
また、目には見えない電波が日常生活の中でどれほど役立っているかを実感してもらうことも重要な目的の一つです。電波に対する科学的な関心を高め、将来の可能性を広げるきっかけとなるよう、教室を設計しています。自ら手を動かし、理解し、完成させるという体験は、子どもたちの挑戦する意欲や探究心を育てる土台となります。この教室は2010年にAMラジオのキット製作と電波の基礎説明からスタートし、2019年にはワイドFM対応へと内容を進化させてきました。2024年までに延べ約6,000人が参加し、ラジオ製作だけでなく、電波についての分かりやすい講義も含めた内容は、参加者から大変好評をいただいています。
現在ではスマートフォンやWi-Fiなど、私たちの生活には欠かせない存在となっている電波ですが、小中学校ではまだ体系的に学ぶ機会が少ないのが現状です。この教室では、体験を通じて電波の基本を学ぶ貴重な機会を提供しており、将来の理系人材やエンジニアの育成にもつながると考えています。私たち日本無線は、今後もこの活動を継続・発展させ、電波に興味を持つ次世代の子どもたちを応援してまいります。
補足
「学都『仙台・宮城』サイエンスデイ」に2012年から参加しています。当時は、本社工場での文化祭とこのサイエンスデイの年2回のみの開催でしたが、2015年の創業100周年を機に各地でイベントを実施するようになりました。それまでサイエンスデイは、私たちにとって貴重な活動の場でした。このイベントに参加する生徒さんは科学への関心が高い方が多く、参加スタッフも多くを学ばせていただきました。サイエンスデイは、現在の工作教室の原型が形作られたイベントであり、大変感謝しております。参加して頂いた生徒はもちろんのこと、若手社員にとっても大きな意味があります。人前で発表する経験を積み、小学生に電波の仕組みをどう教えるかを考えることは、若手社員の教育の場としても非常に有益です。
7.具体的な出展内容(6.の目的を実現するために、どのような出展内容としましたか?)
1.電波とは(約25分)
説明する社員により構成は共通ですが、内容には個性があります。電波の身近さと面白さを伝えるにあたり、子どもたちの反応を評価基準として改善しています。私たちの生活の中には、電波を利用した多くの製品があります。電子レンジ、交通系ICカード、レーダー、ラジオなどの事例を取り上げ、クイズ形式で電波の使われ方を学びます。
a)実験①:ICカードの違い
接触型と非接触型ICカードの違いを紹介し、「ICを駆動させる電源は何か?」という問いに対し、トランシーバーを用いて電波でLEDを光らせる実験を行います。
b)電波の正体
電波は「電界」と「磁界」で構成されていることを説明し、コイルにLEDをつなげ、磁石を通すことでLEDが点灯する実験を実演します。
c)クイズ②:なぜ混信しない?
「速さ」「大きさ」「形状」などのキーワードからクイズを出題し、周波数の概念を説明します。3つの長さが異なる振り子を使い、特定の振り子だけが反応する実験を行います。
d)クイズ③:素材による違い
異なる厚さのアルミ板とプラスチックの上を磁石が滑るとどうなるか?という問いと実験を通じて、難しい「渦電流」の概念をわかりやすく説明します。
2.ラジオの説明とはんだ付け練習(18分)
次に、製作するラジオの概要と、はんだ付けの方法について説明します。安全確保のため、事前にビデオを視聴し、保護メガネの着用を徹底します。その後、スタッフとともに、ボリュームや向きのあるLEDを使って、実際に練習はんだ付けを行います。楽しく作業するためにも、安全第一を心がけます。
3.休憩(10分)
休憩時間には、先ほどの「電波の説明」で使用した実験器具を実際に手に取って体験できるようにします。
4.コイル巻き(20~30分)
約14.8mのエナメル線を使ってコイルを巻きます。巻き終えたら、測定器でインダクタンスを確認し、正常に巻かれているかを確認します。測定値の目安は 330μH ±30μH です。
5.部品の取り付け(45~60分)
回路基板に部品をはんだ付けしていきます。スタッフは随時声をかけ、子どもたちを褒めてモチベーションを高めながら進めます。
6.完成・アンケート・記念撮影(7分)
すべての部品を取り付け終えたら、スイッチを入れて動作確認を行います。ボリュームを調整し、ラジオから音が聞こえた瞬間の「感動」を大切にし、達成感を味わってもらいます。
8.出展内容を説明する写真や図(1点以上)

完成したAM/FMラジオ

教室の風景 2013.7.20

休憩時間 2014.7.20

電波の説明2015.7.19

東北大学OB含む若手社員が参加するようになり、他団体との交流も盛んになる。2016.7.19

2年ぶりに開催。対面による感染リスクを考慮し、授業方式で実施 2022.7.19
電波の説明資料 25~30枚の資料で説明 その一部を紹介
9.科学を社会に伝えるために、特に工夫していること・意識していることは何ですか?
1.やけどをさせない けがをさせてしまっては、それまでのすべての努力が水の泡になってしまいます。
2.失敗を恐れない 挑戦することが大事だと理解してもらう
3.楽しむ ポジティブに捉えることの重要性
幸福学を研究する前野隆司先生の「4つの因子」を意識し、子どもたちに自然と伝わるよう工夫しています。
1.「やってみよう」因子
少し難しそうでも、「とにかくやってみよう!」という気持ちを大切にしてもらいます。
2.「なんとかなる」因子
うまくいかなくても、「大丈夫、なんとかなる!」と前向きに捉え、気持ちを切り替えて次に進む姿勢を育てます。
3.「ありがとう」因子
スタッフは子どもたちの応援団です。年齢に関係なく、お互いを思いやる気持ちの大切さを感じてもらいます。
4.「ありのまま」因子
完成したラジオを他の子と比べたくなるかもしれませんが、「そのときの自分の作品」であることに意味があります。数年後、また作れば、さらに満足のいくラジオができるよ、ということを伝えます。
私たちは、生徒を褒めることを大切にしています。しかし、褒めること自体が目的ではありません。褒めることを通して、生徒一人ひとりが自信を持ち、様々なことに意欲的に挑戦できるようになることを心から願っています。
10.その他、アピールポイントなど、ご自由にご記入ください(自由記入欄)
サイエンスデイ参加者のアンケートではないですが

日野にある物流センターから歩いて数分のところに、社会福祉法人東京光の家就労ホームがあります。ここでは子供たちが滞りなく工作ができるよう、準備作業をお願いしております。「小さな部品1つ1つを紙に貼ったり、箱に詰めたり楽しく作業をさせてもらっています」とのコメントを頂いています。

就労ホームの皆さんにも、この活動を陰で支えてもらっています。