応用物理学会東北支部に所属する研究室の見学会が12月20日、東北大学で行われ、仙台二高物理部の生徒ら13名が参加した。この会は、今年7月に東北大学で開催された『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』で、仙台二高物理部の出展が、応用物理学会東北支部の「応用物理学会東北支部長賞(しぶいで賞)」を受賞したことをきっかけに、副賞の一つとして実施されたもの。
このうち、青葉山キャンパス見学班では、工学研究科に所属する、次の3研究室を訪問。生徒らは最先端の研究設備に驚きながら、担当教員らの説明に熱心に耳を傾けていた。
生徒らは、まず「世界最強」と言われるネオジム磁石の威力を体感。一般的なフェライト磁石との違いに、驚いた表情を浮かべていた。また、ネオジム磁石や世界初の人工磁石である「KS鋼」が日本人によって発明されたことや、日本が磁石の研究で常に世界のトップを走っていることなども、永沼助教から説明された。
これら微細な素子をつくるためには、塵や埃の出ない環境が必要なため、作業は「クリーンルーム」と呼ばれる特殊な部屋で行われる。生徒らも、塵の出ない専用スーツに着替え、クリーンルーム内を見学。最先端研究設備に生徒らは「高校とはレベルの違い過ぎる研究内容や設備に、すごいの一言です」と興奮した様子だった。
そもそもガラス(アモルファス)は、構造的な規則性を持たないため、光を透過するのみで、光の制御はできない。しかし、ガラスは不定形であるため、他の元素をたくさん入れられるという特徴がある。一方、構造的な規則性を持つ結晶は、光の方向や色を制御できるが、形はすでに決まっている、という特徴がある。
最後に、同研究室が開発した、光触媒の機能を持つ結晶化ガラスも紹介された。生徒が一般的な光触媒との違いを質問すると、井原助教は「従来の壁面に使用される光触媒は表面コーティングが多いため、表面が剥げてしまえば機能しないという問題があった。結晶化ガラスは、光触媒機能を半永久的に保てる点が特長」と答えており、生徒らは感心した様子だった。
小池教授は「電気抵抗がゼロになれば、発電所から電気をジュール熱のロス無しで送ることができる。現在、超伝導が起きる最高温は135ケルビン(約マイナス138℃)だが、もし室温で超伝導になる物質を発見すれば、ノーベル賞は間違いなし、産業革命が起こるだろう」などと熱く語った。
生徒らからは「室温で超伝導になる物質発見の見通しは?」「超伝導で電気抵抗は本当にゼロになるのか?」「無限に冷やすことはできるのに、なぜ絶対零度は到達できないのか?」「実際そこまでどうやって冷やすのか?」などと活発な質問があった。小池教授がグラフを用いながら、丁寧に解説すると、生徒らは納得の表情を浮かべていた。
参加した生徒らは「普段は入れない場所を見学でき、自分にとって未知の世界を知れて、すごくワクワクした。本当に来て良かった」「疑問に思ったことを自分の納得できるところまで説明してくれて、霧が晴れたような気持ち。ぜひもう一度このような機会が欲しい」などと感想を述べていた。