本講座では、花山の豊かな自然の中で、自然現象を定量化する測定装置を自ら作成するプロセスを通じて、子どもたちに科学を体験してもらうと同時に、ものづくりの心得えと基礎的な知識・技術を習得してもらうことを目的に実施しました。また、様々な測定装置が、わたしたちの社会の中で実際にどのように役立っているかを子どもたちに知ってもらうため、計測器・制御を専門とする日本ナショナルインスツルメンツ株式会社に協力いただき、「はかる」をテーマに様々な物理量の測定をゲームを交えて体験するワークショップも開催いただきました。
科学講座では、まず1日目に、安全にものづくりを行うための方法を練習した後、はんだづけの練習をしました。次に、LEDや抵抗などの電子部品の役割や回路図の読み方について学んだ後、並列つなぎのLED点灯回路を作製しました。2日目は、1日目に習得した技術を基に、デジタル温度計を作製しました。温度センサー回路と表示器の回路を作製し、LED点灯回路にはトグルスイッチをつけて回路を切り替えられるようにしました(詳しい講座内容については、昨年度レポートをご参照ください)。
試行錯誤しながらも、これらの回路を組合せてデジタル温度計を無事完成させた子どもたちは、きちんと動くか動作確認をした後、温度センサーの出力電圧と温度の関係式から、温度を算出。自ら作製したデジタル温度計を用いて、水や雪、塩を加えた雪水などについて、温度センサーの出力電圧から温度を調べました。参加した児童(小学5年生)は、「はんだづけは初めてだったが、色々なものをつくれて楽しかった。つくるための材料もいっぱいもらったので、また家でもつくりたい。友達もたくさんできて嬉しかった」と話していました。
今回の講座では、はんだづけが初めての児童から電子工作経験者まで、幅広い層の児童たち70人弱を、同一会場(体育館)で一斉指導する形態に初めて挑戦しました。進捗状況や理解度に幅のある集団に対して一斉指導する講師側のスキルが大きく問われ、課題も多く見つかりましたが、今後の指導や運営に対して新しいアイディアを考えるチャンスを得ることができました。また、今年度で二回目の連携となる国立花山青少年自然の家とも、今後にむけてさらなる相互理解を深めることができました。今後も地域の特色ある様々な団体との連携を通じて、よりよい科学教育プログラムの開発を行っていきたいと思います。