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サイエンス・デイ オブ ザ イヤー2025(東北大学総長賞)受賞企画概要

1.出展プログラム名

ドボクを体験 つよいぜ!!紙で橋をつくってみよう

2.出展団体名

東北工業大学工学部都市工学課程×(一社)日本橋梁建設協会

3.構成員名簿(氏名・学年)

氏名 役職・学年
山田真幸 教授
学生スタッフのみなさま 3年生
東北事務所のみなさま (一社)日本橋梁建設協会

4.受賞コメント(約400字)

 この度は「東北大学総長賞」を頂きどうもありがとうございます。サイエンスデイAWARD2025の「宮城県産業技術総合センター所長賞」、「ミヤテレ賞」に重ねての受賞で大きな喜びと、また多少の驚きと共に受け止めています。関係の方々全てに感謝いたします。2015年の初参加は正直なところ積極的ではない理由でしたが、完成した橋のペーパークラフトにペットボトルのおもりが載って喜ぶ、あるいは驚く小さい参加者の様子に逆に私達が驚き、出展の楽しさと可能性を感じ始めたのを覚えています。次年度に賞を頂きましたがその後は改善を続けながらも坦々と出展を続けていました。とくに約10年にわたりサポートを続けて下さった(一社)日本橋梁建設協会東北事務所の方々にはあらためて感謝の意を表したいと思います。出展を続ける中でこの企画の終わりをずっと考えてきました。この企画に込めた思いは色々ありますが、それらに関係なく最終的には私達の手を離れて広く普及すれば良いかと最近は思っています。もう少し続けてみようと思います、来年も宜しくお願い致します。

5.プログラム紹介文

 普段なにげなく使っている橋は「うすい鉄の板」を「ようせつ」して作られています。紙でそのかたちをまねると軽くてとても強い橋がつくれます。自分の手で橋の模型をつくってドボク技術者のくふうを感じてみませんか?ドボクの「大学」と「橋の専門家」がお手伝いします、つよい橋をつくってみよう!

6.趣旨・ねらい(どのようなことをねらいとして、出展内容を考えましたか?)

 出展団体の学問的基盤は土木工学です。土木は環境破壊や無駄な公共事業を作り出す元凶としてそれに疑念を持つ方々がおられることは事実で、1990年代には全国の大学の土木工学科が一斉に学科名を変更するようなことがありました。しかし働き手不足が取沙汰される中で、自然災害が多発し、社会基盤施設の老朽化が進んでいる現在、これらを科学に基づいて考え、現実的な解決策を提案できるのはやはり「土木工学」だと、私たちは考えています。特に東北地方は先の東日本大震災で大きな被害にあったにもかかわらず、土木系学科を有する大学はわずか7大学にすぎない地域となっています。また土木技術者の方々についても,自らを「縁の下の力持ち」と称するなどしていますが、もう少し何とかならないものかと常々考えておりました。このような中、「土木工学」の果たす社会的な役割の正しい理解の促進と、将来確実に不足する土木技術者の確保を念頭に、土木構造物としてキャッチーな「橋」の「科学を使った」模型作りを通して、これら2点、社会的な役割としての「ドボクのPR」と、土木工学をはじめとする「理系学問への興味の醸成」をねらい、タイトルの様な出展企画を考えた次第です。

7.具体的な出展内容(6.の目的を実現するために、どのような出展内容としましたか?)

テーマ①を「ドボクのPR」、テーマ②を「理系学問への興味の醸成」として、橋のペーパークラフトを製作するブースを出展しています。テーマ①に関して、土木構造物として最も一般的で社会的な認知度が高いと思われる「橋」を対象にしました。出展の様子を図-1に示します。テーマ①、②の為に、対象を小学生から大人までとしました。元々は東北大学土木工学専攻のオープンキャンパスで実施していた橋のペーパークラフトの製作体験でしたが、小学生が十分に作れるようにモデルとなる実橋梁の形式を絞り、模型のサイズや型紙のカット等を見直すことで、これを実現しました。この見直しによる簡単化で、スタッフの労力の低減とブースの回転率の向上の二次的な効果もありました。橋のペーパークラフトの概要を図-2に示します。テーマ②のために、上記の模型の組み立てにはグルーガンを使用しています。グルーガンを使用することで、一般的な接着剤では難しい、部材を部材に対して立てて接合することが可能となります。この接合は鋼橋の製作で実際に多用されている溶接接合を模擬しています。グルーガンの使用については、昨今では小学校で多くの使用実績があることや、冷やすとすぐに固まる作業性の良さも考慮しています。グルーで部材と部材とを立てて接合することで、荷重に対する断面二次モーメントを非常に大きくすることが可能となります。また実橋梁と同様に、箱桁内に隔壁を設けることで局部座屈を防ぎ、完成品には1リットルのペットボトル程度を問題なく載荷できます。この原理をごく簡単にして、製作マニュアル(作り方の説明)の裏面に「橋」と「土木工学」を結びつける文言とともに配して、参加者にお渡ししています。製作マニュアルの裏面などを図-3に示します。ここでは同時にテーマ①の為に「世界はドボクでできている。」として土木工学の社会的な役割について触れた文言を記しています。またここではメインの主張を「橋は土木工学、土木技術者がつくります」として中央に掲げていますが、これには私が学生のときから続く「建築学科」の人気に隠れた「土木工学科」の不人気を、「公共事業を扱う」という正しい理解のもとで何とかしたい、といった大学人としての願いも込めています。2025年で初出展から10年が経ちました。このイベントがきっかけで橋や公共事業、まちづくりや防災に興味を持って、土木の道に進む若者が出てくれば良いと思っています。

8.出展内容を説明する写真や図(1点以上)


図-1 出展ブース概観

図-2 橋のペーパークラフト製作概要

図-3 科学的解説とPRの書類

図-4 模型完成後の載荷試験の様子

図-5 載荷試験の記念撮影の様子

9.科学を社会に伝えるために、特に工夫していること・意識していることは何ですか?

小学生以上を対象にしていることから、まずは楽しく、また驚きやよろこびといったインパクトある出来事になるようにして、以降の科学への興味の醸成につなげる工夫をしています。図-4に示すように、模型製作が終わった参加者には、ブースの前方に設置した舞台的なところで載荷試験をしてもらっています。この時、スタッフ全員が前方に注目するように他の参加者に声をかけ、載荷に成功したら全員で拍手をするようにしています。試験前には半信半疑で自信が無い参加者が、模型にペットボトルが乗った瞬間に見せる笑顔には素晴らしいものがあります。この載荷試験の成功率はほぼ100%で、中にはペットボトル2本を乗せる参加者もいます。また昨今のスマートフォンの普及やSNSの発達等を鑑みて、載荷試験に際しては保護者の方などに写真を撮ってもらうことを勧めています(図-5参照)。口コミのみならず、現代のコミュニケーションツールを通じて私たちの出展の意図が少しでも多く社会に伝わればと考えています。

10.その他、アピールポイントなど、ご自由にご記入ください(自由記入欄)

 現在この出展内容の普及を試みており、参加者数や、イベントで使用した物品や材料の数量、一人当たりの作業時間、スタッフの人数や配置、対応ルーティーンなどについてトライアル&エラーでデータを取り、マニュアル化を進めています。2019年には実施に必要な物品のリスト化やノウハウの蓄積がおおよそ完了し、「2019青少年のための科学の祭典東京大会in小金井」に出展しました。以降2023年、2024年にも出展しています。また2023年には同山形大会にも出展しました。2024年東京大会in小金井の様子を図-6に示します。これらのイベントでは4人ブースを運用し、約100人に模型を作ってもらいましたが、1日のブース運営で必要な資材は、図-6に示す様にトランクに収まります(ただし景品は除く、ペットボトルは現地調達した)。これらの出展で自動車利用なし、公共交通機関のみで実施可能な事を実証しました。この様に移動を含めた準備に要するコストを低減し、イベントの楽しみはできる限り高くする工夫をして、科学イベントや関連する土木工学関連のイベントなどで使用して頂くことを考えています。


図-6 出張出展「青少年のための科学の祭典 東京大会in小金井」の様子と資材など

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