サイエンス・デイ オブ ザ イヤー2025(宮城県知事賞)受賞企画概要

1.出展プログラム名
大道仮説実験〈しゅぽしゅぽ〉
2.出展団体名
NPO法人 楽知ん研究所 仙台
3.構成員名簿(氏名・学年)
4.受賞コメント(約400字)
この度は,すばらしい賞をいただき,本当にありがとうございます。私たちは科学入門教育の講座を全国で開催しているNPOですが,イベントとして1回限りの講座ではなく,年齢や職業などに関わらず,自由闊達に話し合い,仮説実験する仲間を求めて活動しています。うれしいことに,今回のサイエンスデイに参加されたのをきっかけに,その後の楽知ん研究所の講座にも楽しく参加してくださっているかたが多数いらっしゃいます。サイエンスデイを主催され,お世話になっている,ナチュラルサイエンスのみなさん,選んでいただいた審査員のみなさん,アワードで賞をくださったお二人,そして講座に参加してくださったたくさんのみなさんに改めて感謝申し上げます。このすばらしい賞に恥じないよう,これからも仲間と一緒に,たのしい科学の伝統を守り広げていきます。
5.プログラム紹介文
私たちは,子どもから大人まで,誰もが一緒にたのしく感動的に学ぶことができる〈科学入門講座〉を全国各地で開催しているNPOの研究所です。
「サイエンス・デイ2025」では,昨年の〈ころりん〉につづき「大道仮説実験」を出展します。
「大道」といっても〈大道芸〉や〈サイエンスショー〉ではありません。参加者が自分の脳ミソで予想を立てて,他人の脳ミソも借りて考えて,実験することを繰り返すと,見えないものが見えてくる?! というお気軽な科学入門教育の講座です。
そんな「脳ミソ喜ぶ体験」をあなたも!
今年のテーマは〈しゅぽしゅぽ〉。
大人も(大人こそ!)たのしめる実験,実験,また実験! 親子孫,友だち,カップル,おひとり様もご一緒に,ワイワイ楽しみましょう!
6.趣旨・ねらい(どのようなことをねらいとして、出展内容を考えましたか?)
大道仮説実験〈しゅぽしゅぽ〉は,真空実験の楽しさを体験し,最後には日ごろ感じない空気の存在を感じることで,「何もないものがある」真空という存在にチョッピリ思いをはせることができるような流れになっています。本格的な大気圧の原理原則がわかるまではいきませんが,〈飛び回る空気の粒〉のイメージがつくられます。それによって,真空ポンプによって引き起こされる現象が理解できるようになります。(小出雅之『大道仮説実験しゅぽしゅぽ実演MEMO』2005年楽知ん研究所より)
この講座では「大道仮説実験〈しゅぽしゅぽ〉フリップBOOK」を使用します。
著者:宮地祐司,小出雅之,松野修
イラスト:小出雅之
先行研究:三木淳男,平賀幸光
発行:NPO 法人 楽知ん研究所
〈仮説実験授業〉の運営法に従いながらも,テンポよく進めるために【問題】などを図入りで書いたフリップブックをめくる形で進めます。さらに問題の意図と実験方法を理解してもらえるように選択肢を用意して,参加者には予想した選択肢に挙手してもらいます。予想の分布を集計し示すことで,他の人達の予想の傾向をしることができます。予想を選んだ理由を自由に発言してもらい,予想変更したい人は変更し,実験をします。つまり,予想をたてて実験するたのしさを味わうことができるようにします。
〈実験〉といっても,この講座では,参加者が自身の手で何かを操作するわけではなく,講師がやる様子を見るだけです。「実験というのは,器具を操作して,教科書に書いてある実験結果になることを確認すること」と思ってしまっている子どもも大人も多い中,ここでは「予想をたてて確かめるという意味での実験によっ て本当のことはわかる」という体験をしていただきます。
歴史上初めて真空実験をたのしんだゲーリケのことを紙芝居(作・絵:小出雅之)にしています。それを紹介して,科学実験に夢中になって楽しんだ先人がいたこと,ゲーリケが真空実験に夢中になった理由にもふれるなど,科学の歴史にも関心をもってもらいたいと思います。
7.具体的な出展内容(6.の目的を実現するために、どのような出展内容としましたか?)
講座の進行
0,受付
1,はじまりのあいさつ
講座をたのしむための3つの約束
2,大道仮説実験〈しゅぽしゅぽ〉フリップブックと紙芝居による展開
【質問】,【問題1】?【問題8】,
【紙芝居「実験,実験,また実験─ゲーリケ市長の真空ポンプ物語─】
【問題9】
3,おしまいのあいさつ
4,感想用紙に記入のお願い
8.出展内容を説明する写真や図(1点以上)

フリップ1

フリップ2

フリップ3

ゲーリケの真空実験を紹介する紙芝居の表紙(作・絵:小出雅之)

大教室の場合はプロジェクターとライブカメラを利用(写真は昨年の様子)
9.科学を社会に伝えるために、特に工夫していること・意識していることは何ですか?
真空実験は,ドイツのゲーリケによって,1650年頃に真空ポンプがつくられ研究されるようになりました。ゲーリケがまとめた『真空空間についての(いわゆる)マクデブルクの新実験』(1672年)は,「実験物理学の研究展開を見事に描いた本」として有名です。当時のドイツ・マクデブルクは「30年戦争」で荒廃していました。そういう時代にゲーリケは市長として復興に力を尽くしていたこと,そのかたわらで苦労して真空ポンプを作り上げたことなどを,子どもにも親しみやすいよう紙芝居にしたもので紹介します。それによって「ゲーリケは,こわされた街を作り直す仕事をしながら,マグデブルクを「科学実験ができる平和な街」にしようとした」「平和で民主的な社会だからこそ科学をたのしむことができる」ということを大人も含めて,講座をたのしんでくれる人たちに伝えていきたいと考えています。
10.その他、アピールポイントなど、ご自由にご記入ください(自由記入欄)
この講座で使う「しゅぽしゅぽ」という道具は,真空調理器として市販されていた台所用品ですが,簡易真空ポンプとしての性能もすぐれたものです。これを最初に学校での真空実験用のポンプとして使ったのは佐々木悦子さんという当時宮城県の不動堂中学校教諭のようです(宮城教育大学の鈴木清龍先生が『理科教育』という教育誌に1991年に紹介)。その後,三木淳男,平賀幸光らの仮説実験授業研究会の研究の肩の上にたって,楽知ん研究所のメンバーがこのプランの展開とフリップブックや紙芝居を完成させました。
楽知ん研究所のメンバーは全国各地で活動しています。宮城では2014年から主に「東京エレクトロンホール宮城」の会議室をお借りして講座を開催しており,今年も夏には宮城県教育委員会の後援をいただいて県内各地から参加の親子と科学入門講座を楽しみます。