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科学・技術の地産地消レストランオープニングイベント第2弾「ゼロから学ぶ物理実験講座~重力加速度を測定しよう~」[2014年3月29日(土)-30日(日)]を開催しました

「科学・技術の地産地消」レストランで開発した科学講座の試行的実施の様子。

自由落下運動の実験系構築の必然性を体感してもらうための授業導入の様子。はんだ付けの練習後、LED点灯回路や光センサーの距離特性測定回路を作成する受講生たち。実験系制御と取得データの解析を行うために必要な、プログラミング言語(JavaScript)や二次元グラフの描画方法(jqPlot)、マイコンによる実験系の制御方法(Arduino)を習得する受講生たち。自由落下運動を計測する光センサーの距離特性や電磁石の特性を考慮した筐体設計の必要性を学んだ後、筐体を作成し、実際に自由落下運動の測定を行った。
物体の運動を記述するための手法である物理学の理論をレクチャーするシェフ物理学の理論を習得した後、取得したデータと照らし合わせながら、実験結果の解析を行う受講生たち。実験データの解析結果から重力加速度を算出し、その誤差について検証する受講生たち。活発に議論を行い、誤差の発生メカニズムや実験精度について学ぶ受講者たち。科学史を「教養エッセイ」と「教養ラップ」に仕立てたシェフオリジナル作品も披露された。文学者の土佐誠さん(仙台市天文台台長)をゲストに迎えた「物理を語ろうの会」の様子。

【写真1】「科学・技術の地産地消」レストランで開発した科学講座の試行的実施の様子。
【写真2】自由落下運動の実験系構築の必然性を体感してもらうための授業導入の様子。
【写真3】はんだ付けの練習後、LED点灯回路や光センサーの距離特性測定回路を作成する受講生たち。
【写真4】実験系制御と取得データの解析を行うために必要な、プログラミング言語(JavaScript)や二次元グラフの描画方法(jqPlot)、マイコンによる実験系の制御方法(Arduino)を習得する受講生たち。
【写真5】自由落下運動を計測する光センサーの距離特性や電磁石の特性を考慮した筐体設計の必要性を学んだ後、筐体を作成し、実際に自由落下運動の測定を行った。
【写真6】物体の運動を記述するための手法である物理学の理論をレクチャーするシェフ。
【写真7】物理学の理論を習得した後、取得したデータと照らし合わせながら、実験結果の解析を行う受講生たち。
【写真8】実験データの解析結果から重力加速度を算出し、その誤差について検証する受講生たち。
【写真9】活発に議論を行い、誤差の発生メカニズムや実験精度について学ぶ受講者たち。
【写真10】科学史を「教養エッセイ」と「教養ラップ」に仕立てたシェフオリジナル作品も披露された。
【写真11】文学者の土佐誠さん(仙台市天文台台長)をゲストに迎えた「物理を語ろうの会」の様子。

■科学・技術の地産地消レストランの新メニューを試行的に実施

 学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティでは、「科学・技術の地産地消レストラン」と銘打ち、様々な地域リソースを活用した科学講座を開発・実施することで、地域の知的資源が次世代育成に還元される循環をつくることを目指しています。
 この科学・技術の地産地消レストランのオープニングイベント第2弾として、研修中のシェフ(サイエンスコミュニケーター)たちが開発した新メニュー(科学講座プログラム)の試食会(試行的実施)を、3月29日と30日の2日間連続講座として実施し、中高生9人(内訳:中学生3人、高校生6人/男5人、女4人)が参加しました。

■今回のテーマは「自由落下運動」

 今年度シェフたちが開発した科学講座は、自由落下運動をテーマとした「ゼロから学ぶ物理実験講座~重力加速度を測定しよう~」です。身近な物理現象の一つとして自由落下運動は物理学の学習の初めに扱いますが、測定するのがそれほど容易でないこともあり、意外にも実際にその測定を行うことはなかなかありません。しかし、この運動への理解は物理学の発展の歴史において重要であり、物理学を学ぶ上で大切な要素を多く含んでいます。
 そこで本講座では、実際にさまざまな工夫をしながら自由落下運動の実験系を自ら構築して実験を行い、自由落下運動の理論的な記述と比較して考察を行うことで、実験と理論の両面から自由落下運動という物理現象をとらえていきます。その過程を通じて、物理現象をとらえることの難しさと上手くいった時の喜びを実感しながら、物理学を習得していくスタイルを身に着けましょう。
 自由落下運動を、実験と理論の両面から理解するために必要な要素は、次の3つです。ここに挙げた要素は自由落下運動だけに限らず、今後取り上げる様々な運動でも不可欠ですので、きちんと習得しましょう。
(1) 測定を行うための実験装置の設計と作成
(2) 計測データを処理する方法の習得
(3) 理論的取り扱いに不可欠な物理学と数学の理解

■要素技術を学んだ後、自分で実験系を構築して物理量を測定

 1日目は、「基礎編: 実験系構築に必要な要素技術を身につけよう!」と題して、翌日の実験系構築に必要な要素技術を、ハードとソフトの両面で受講生に習得してもらいました。今回の実験系では、鉄球が落下する運動を非接触で計測する光センサーを、LEDと受光器を用いて作成するため、1日目ははんだ付けの練習からスタートし、LED点灯回路や光センサーの距離特性測定回路を作成しました。次に、実験系制御と取得データの解析を行うために必要な、プログラミング言語(JavaScript)や二次元グラフの描画方法(jqPlot)、マイコンによる実験系の制御方法(Arduino)を習得しました。
 続いて2日目は「実践編: 自分で実験系を構築して、物理量を測定しよう!」と題して、前日に取得した要素技術を駆使して、実験系を構築しました。まず、自由落下運動を計測する光センサーの距離特性や電磁石の特性を考慮した筐体設計の必要性を学んだ後、筐体を作成し、実際に自由落下運動の測定を行いました。そして、物体の運動を記述するための手法である物理学の理論を習得した後、取得したデータと照らし合わせながら、実験結果の解析を行いました。その結果から重力加速度を算出し、その誤差について検証を行いました。受講者たちは活発に議論を行い、誤差の発生メカニズムや実験精度について学びました。


■物理を語ろうの会(ゲスト:天文学者で仙台市天文台長の土佐誠さん)

 最終日は、「物理を語ろうの会」と題して、天文学者(銀河物理学)の土佐誠さん(仙台市天文台台長)をゲストに迎えて、参加者同士の交流の時間が設けられました。交流会では、土佐さんを始めとする参加者たちが、なぜ物理を好きになったかや物理の魅力について、それぞれが語り合い、物理好き同士で交流を深めていました。また、土佐さんからは、興味や疑問を科学に仕立てていくためのアドバイスがあったほか、日本各地の重力加速度一覧が理科年表に掲載されており、これも考察の参考にすると良いというアドバイスや、これを編纂する国立天文台で測定されている重力加速度も、本講座と同様の原理で、より精度良く測定されていることなどが話されました。最後に、当レストランシェフ特製”デザート”として、科学史をオリジナルの「教養エッセイ」と「教養ラップ」に仕立てたオリジナル作品が披露され、最後は皆で合唱しながら楽しみました。

■参加者の声

 参加した中高生からは、「理論と実験の結果に誤差があり、今までの物理の授業では仕方がないものだと思っていましたが、それも式であらわせることを知り、物理学は数式によって表せるというピュタゴラスの考えに、より共感できました」「内容は多く知識を知ることができてよかったです。電子工作、プログラミングと多くのことを学べました」「プログラミングや電子工作など、興味はあったが手をつけていないことを学ぶことができ、ためになりました」「ハードウェアとソフトウェアの両方の経験が一度にできるのですごく良かったです」「満足のいく学習ができた上、新しい友達もできて嬉しかったです」といった声があり、非常に高い満足度を得ることができました。
 なお、今回の試行的実施により得られた講座内容や教室運営の改善点については、講座内容を見直し、次年度の夏季頃、改善版の講座を試行的に実施する予定です。

開催概要

名称 科学・技術の地産地消レストランオープニングイベント第2弾「ゼロから学ぶ物理実験講座~重力加速度を測定しよう~」
主催 特定非営利活動法人 natural science
内容

ゼロから学ぶ物理実験講座~重力加速度を測定しよう~

【日時】2014年 3月 29日(土)9~19時、~30日(日)9~19時 <連続講座>
 1日目 「基礎編: 実験系構築に必要な要素技術を身につけよう!」
 2日目 「実践編: 自分で実験系を構築して、物理量を測定しよう!」
 「物理を語ろうの会」(30日18時~)  ゲスト 物理学者:土佐誠さん (仙台市天文台台長)

【場所】natural science オフィス(宮城県仙台市青葉区北目町4-7 HSGビル4階)
【アクセス】GoogleMap
【対象】高校生(やる気のある中学生も可)
【人数】9人
【費用】無料
 

20140303-2

この実験講座のユニークなポイント

●物理実験系をゼロから自分で構築することができます。
●実験系構築に必要な要素技術(プログラミング・電子工作)も基礎から学べます。
●講師を務める大学生とディスカッションしながら学べます。
●「物理を語ろうの会」(30日18時)で物理学者と語り合えます。

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