『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2021』に参加されている皆さん、こんにちは。二年ぶりに開催されるこの大会は、すっかり以前と違った形になりました。新型コロナウイルスに伴う急激な環境変化に適応するために、社会は不連続な変化を遂げています。もう、パンデミック前と同じ日常には戻れません。ニューノーマルです。40億年はるかな旅を続ける地球生命は、このような不連続な繰り返しによって、進化をとげてきたのでしょう。
さて現在、宇宙には秒速8キロ、時速3万キロのスピードで移動する社会があります。それは国際宇宙ステーション、6人ほどの小さな社会です。私たちの環境とは全く異なる、地上とは不連続な世界です。すぐ外は人が一瞬で死ぬ、恐ろしい環境です。最先端の科学技術が造る生命維持装置という人工空間で宇宙飛行士たちは、生き延びるために、常に科学コミュニケーションを欠かすことはできません。
80億人が住む地上とは、電波によるコミュニケーションのみです。地球を90分で一周しますが、絶えず電波でつながっています。太陽の光に照らされた地上の昼間、宇宙から人の姿はあまり見えません。しかし地球の裏側、地上の夜を宇宙から見ると、オレンジ色の光がどの大陸にもびっしりと広がっています。私はこれを見たときに、果たして人類は百億人に到達できるだろうかという不安を感じました。それほどもう地球はエネルギーを消費する人間という生物でいっぱいです。
21世紀に入り、インターネットや、SNSが急速に発達してオンラインでたくさんの人が意見交換できるようになりました。数の限界に直面した人類が、地球生命として、あらゆる個人の智恵を総動員して生き延びようと、何かもがいているように見えます。その真っただ中の試みが、ニューノーマル時代における「科学と社会」を考える、この『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2021』だと思います。持続的に人類社会が生き延びられる、ぜひ新しい智恵を生み出してほしいと思います。期待しています。