早稲田塾(東京)が東北大学・江刺研究室と連携して、現代の最先端領域「ナノメカニクス」をテーマにしたプログラムを行う「スーパーナノメカニクス」が東京と仙台で実施され、特定非営利活動法人 natural scienceも東北大学からの依頼で連携し、講演や実習等を担当しました。7月12日に入門講義にて講演(秋葉原校)を担当した後、8月17日から19日までの2泊3日、東北大学などで開催された仙台研修にて、東北大学大学院工学研究科機械系ナノメカニクス専攻でMEMS(微小電気機械システム)の研究教育に携わる教員や研究者とともに実習の一部を担当し、「MEMSセンサ&最新ウェブテクノロジーによるアプリ開発入門」を実施しました。
学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティでは、「科学・技術の地産地消」をコンセプトに、地域にある様々な資源を教育的価値として地域に還元する循環作りを、大学・研究機関や企業等と連携のもと実現することを目指しています。「科学・技術の地産地消のレストラン」では、MEMSに関する研究開発で世界的に有名な東北大学と連携しながら、MEMSを活用した科学講座を開発しています。
これまでnatural science と東北大学・江刺研究室は、学生向けのMEMSを用いたアプリケーションの試作・提案コンテスト「国際ナノ・マイクロアプリケーションコンテスト(iCAN)」等で2012年から様々な連携関係を結んでいます。iCAN国内予選で講演会講師や審査委員を務めさせて頂いたり、学生たちはiCAN’12で世界3位に入賞しました。また2014年は、日本初開催となったiCAN世界大会とnatural science 主催の科学イベント『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』で共催しました。さらに2015年は、natural science の学生チームがiCAN国内予選で優勝し、iCAN世界大会で世界1位に入賞する(プレスリリース)等の成果を挙げています。
今回のプログラムにおいてnatural scienceが担当した実習では、先のiCAN’15世界大会で世界1位に入賞した作品「どこでも茶道」を題材に、センサと最新WEBテクノロジーを用いてアプリケーションをつくるワークショップを行いました。本アプリケーションは、茶道における抹茶の点て方を、各種MEMSセンサを用いて定量的に評価するシステムです。茶筅に加速度センサ、ジャイロセンサ、温度センサを搭載し、点茶における手の動きの周期と方向、手首の振れ角、お茶の表面温度を実時間で測定し、測定結果を無線通信でwebにアップロードし、そのデータからお茶の美味しさを採点するシステムで、全世界”どこでも”茶道のお稽古が可能となります。
今回のプログラムは限られた実習時間のため、本アプリケーションを構成する要素技術のうち、加速度センサから取得した電圧値情報を、電子工作で世界標準のマイコンボード「Arduino」を用いて、アナログ信号からデジタル信号へ変換するまでのプログラミングを生徒たちに学んでもらいました。こうして取得したデータは、最新WEBテクノロジー「HTML5」を用いてアプリケーション開発に使用することができます。プログラミングが初めての高校生も多く苦戦していたようでしたが、最終日には本実習で学んだ結果を発表し、「アイディア次第でセンサを用いた様々なアプリケーションがつくれるだろう。例えば、ボウリングの採点アプリができるのでは」と話していました。
このほか、東北大学教員らによって、インクジェットヘッドやICカードなどの分解実習、微細加工実験などが行われました。最後に、挨拶にたった東北大学の戸津健太郎准教授は、「最先端の微小な技術が、世界でどのように役立っているか、この3日間で興味を持って体感してもらえたと思う」と話していました。