まずはじめに、新展示「人力飛行機」開展式が執り行われました。館内に新しく展示された人力飛行機は「鳥人間コンテスト選手権大会」で2011年と2012年に連覇を果たした東北大学の学生サークル「ウインドノーツ」が約1年かけて復元したものです。開展式では、ウインドノーツ顧問の大林茂教授(東北大学流体科学研究所所長)や機体復元代表の白畑太樹さんが、東日本大震災発生時の思いや苦労、支援への感謝を述べた上で「飛行機を身近に感じ、科学技術への興味や将来の夢を持つきっかけになれば」と話しました。
次に、ODAプレーン愛好会による紙飛行機教室が開催され、親子連れら30人が参加しました。まず、講師を務めた小田浩一さんが「飛行機には飛ぶ理屈があり、いろいろな工夫が込められていますが、今回はまず皆さんに、よく飛ぶ飛行機をつくってもらい、その理屈は大きくなってから考えてもらいます」と語りかけ、教室がスタート。
参加者はまず、ケント紙に書かれた主翼・水平尾翼・垂直尾翼・補強紙に好きな絵を書いた後、線に沿って切り取りました。次に、揚力をつけるために主翼を曲げた後、主翼・水平尾翼・垂直尾翼をバルサ胴体に接着。浮く力とのバランスをとるためにおもりをつけ、つりあいがとれているかや左右対称かを確認して、いよいよ飛行テストです。
一人ひとり紙飛行機を発射台にセットして発射。紙飛行機がうまく飛ぶと、会場からは歓声があがりました。最初はうまく飛ばなかった参加者も、講師の小田さんや那須博さんに飛ばし方の調整方法を教えてもらいながら、何度もチャレンジして、飛行距離を伸ばしていました。
最後に小田さんは「よく飛ばす人ほど、よく飛行機はなくなります。そんな時はぜひ自分でもつくってみてください。自分でいろいろ工夫すると、ひょっとしたら皆さんのつくる飛行機の方がよく飛ぶかもしれません」と呼びかけました。参加した小学4年生は、「重心のバランスを取るのは難しかったけど、自分でつくれて楽しかったです」と話していました。
続いて、仙台高等専門学校「リカレンジャー」によるサイエンスショー「飛行機はなぜ飛ぶの?」が開催されました。リカレンジャーこと仙台高専の学生たちは、空気の流れに関する様々な実験をクイズを交えながら実演。原理や産業への応用例をユーモアを交えながらわかりやすく解説しました。
このうち、飛行機が飛ぶ原理を説明するサイエンスショーでは、飛行機の主翼の断面模型を見せながら、「翼のどの部分に風を当てれば、翼は浮くでしょう?」とリカレンジャーが参加者に質問。参加者はそれぞれ予想しながら、翼に色々な方向から風を当て、ある特定の場所に風を当てると、翼が浮き上がることを確かめました。
そして、この上向きの力(=揚力)が主翼に働いているために、飛行機には重力が作用しているにも関わらず、落ちずに飛ぶことができると説明。この揚力が発生する理由は、翼の上の方が空気の流れが速くなり、(これが翼の上下に圧力差を生み、翼の上の方が圧力が低くなるため、)上に引き上げられる力(揚力)が発生するためと解説されました。最後に、飛行機が飛ぶのと基本的な原理が同じブーメランの工作教室も行われました。
司会を務めた小林拓史さん(電気システム工学科5年)は「なぜ飛行機が飛ぶかをぜひ考えながら、新展示の人力飛行機の翼の形も見てみてください」と呼びかけました。参加した高校1年生は「今日はリカレンジャーが出動すると聞いて、久しぶりに科学館に来ました。理科は苦手ですが、リカレンジャーがおもしろいので、飛行機が飛ぶ原理を楽しみながら学べました」と話していました。